「人づくり、組織づくり」経営の“まち医者”が地元企業を元気に。
株式会社エルシーアール
代表取締役 荒井 浩通
1968年生まれ。宇都宮大学を卒業後、県の教育委員会に就職。その後、アメリカでのホームステイを経験。帰国後は教育出版の訪問営業を担当し、その後は建設や製造の現場を体験するなどさまざまな仕事に従事する。2001年12月、株式会社エルシーアールに入社、営業を担当。2005年、二代目社長の急逝を受け、初代社長とともに体制の立て直しを図る。営業を担当する傍らで、コンサルタントとしての一歩を踏み出し、社員研修や経営コンサルティングの担当を持つようになる。2012年に取締役、2022年1月より代表取締役に就任。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。
小さなことでも相談してもらえる関係づくり。
私たちエルシーアールは「人づくり、組織づくり」を軸に、さまざまなサービスを提供している会社です。主な事業領域は経営コンサルをはじめ、社員教育やISO関連のマネジメントシステム取得支援、社内評価制度の整備による組織力強化、事業承継・M&A支援、各種調査業務などがあります。取引先のおよそ95%は地元である栃木の企業です。おつき合いのあるところからの紹介やセミナーなどを通じて、縁が始まる形で取引が徐々に拡大しました。
地元である栃木に根を下ろして信頼関係を築き、ご縁のあったお客さまとはその後も途絶えることなく、末永くサービスを提供させていただく。そして、お客さまからも学ばせていただきながら、ともに成長する。そういうスタンスで日々の仕事に励んでいます。
当社が大事にしているのはラポール、すなわち企業に所属する人々同士、あるいはそのお客さまや関係者さまと心が通い合うような関係を形成することです。一言で「心が交流する関係」といっても、具体的に実践するのは容易ではありません。そんな時、身近にまち医者のようなコンサルタントがいれば、気軽に相談できるでしょう。そういった地域の「まち医者」的経営コンサルタントが、私たちの目指す姿です。
小さなことや、時にはプライベートな悩みでもいい。どんなことでもお客さまから頼っていただける関係性を作っているつもりです。そして、今後もそうでありたいと考えています。
大事なのは、心の通い合いがベースになっているか。
お客さまからご相談をいただいた時は、分かることはすべてお応えします。すぐに解決できなければ、時間をもらってでも調べて対応します。もし「まち医者」である当社で処理できない大きな問題であれば、協力関係にある専門家を紹介します。また不明確な点があれば、曖昧にして逃げたり放ったらかしたりせずに、誠実に相談ごとに向き合います。
先日、ある会社の社長から「出身校が甲子園大会に出場することになり、OBに寄付金集めを依頼するから、挨拶文を作ってくれないか」とお願いされました。そこで、30分で作ってお送りしたら、とても喜ばれました。大した内容ではないかもしれないけれど、ささいな相談にも妥協せず取り組むことで、途切れない関係性が形成できているのではないでしょうか。
当社を「パートナー」と思ってくださるお客さまが多いからこそ、たくさんのご紹介もいただけているのではないか、と日々感謝しております。
時代の変化とともに、お客さまの課題も変わります。昨今、お客さまからよく受ける相談が、労働環境の変化についてです。かつて労働環境があまり良くないと思われていた業界でも、年間休日を増やし、土日の完全週休2日など環境改善に取り組んでいます。そのように待遇や福利厚生を整え、働き方改革を常にしていかないと、人材確保すらままならなくなっているのです。しかし、実際に制度を運用させるには、社内に多くの課題を抱えているのも事実です。
また、「ハラスメント」の相談も増えてきました。若い人材にハラスメントを感じさせない。しかし、言うべきことをきちんと伝えるにはどのように接したらいいのか。世代が上の人であればあるほど、対応に苦慮されている印象もあります。
お客さまの相談内容は、このようにさまざまです。しかし、「本質は同じなのではないか」とも思います。すなわち、「心と心の交流があるかどうか」です。信頼関係が組織のベースになっていれば、働き方改革であろうとハラスメントの克服であろうと、乗り越えられない課題はありません。私たちがなすべきは、対症療法的に個別の課題をつぶしていくのではなく、心の通い合う組織づくりのお手伝いです。
時代が変わっても、重要なのは「人づくり、組織づくり」です。そこを支えられるように私たち自身も襟を正し、さらに成長しなければなりません。
保身にならず、全力で取り組む、温かな社員が多い。
私がエルシーアールに入社したのは2001年。それまではいろんな仕事に就いていました。訪問営業で毎日飛び込みをやっていたこともありますし、大手メーカーの製造現場に入って最新の品質管理手法を学んだりもしました。
エルシーアールでは営業として活動していたのですが、2005年、就任して間もない若い二代目の社長が急逝したことで、環境が激変。社長を失った悲しみにくれる暇もなく、事業の立て直しを図る必要がありました。初代社長が急遽三代目社長として復帰し、私は社長と力を合わせ奔走しました。
幸いだったのは、三代目社長が私を自由に動かせてくれたことです。だいぶ苦労もしましたし、失敗も相当しましたが、何とか組織を立て直してエルシーアールらしい活動ができるようになりました。社長急逝後の三ヶ月は契約ゼロで不安と恐怖の連続でしたが、その壁を乗り越えて今日の姿まで再構築することができたのは、普段から真摯にお客さまと向き合ってきた成果ではないでしょうか。日々の業務を積み重ねることで生まれた信頼は、危機の時にこそ威力を発揮するものだ、と改めて実感します。
社長就任は2022年。三代目社長から経営を受け継ぐ際、「社員はもちろんその家族も、また協力者、関係者の方々も含め、一つの家族みたいなもの(大家族主義)として、みんなで成果を挙げ、ともに喜び合う、そんな社風を大切にしていこう。ラポールを基本に歩んでいこう」と話し合いをしました。そのラポールイズムは、今もしっかりと継承されています。
当社の社員に共通しているのは「温かさ」でしょう。単に儲けだけを考え、利が薄そうなお客さまのところにはサービスを控える、といったことはできません。どんなお客さまに対しても、全力で取り組む温かさをみんな持っています。その姿を外から見ると、随分緩く感じるかもしれません。しかし、損得を考えず懸命に努力するからこそ、お客さまが認めてくれると思うのです。
学ぶごとに成長を実感できる。
当社は多彩な領域で事業を展開しています。それぞれの領域で提供するサービスも幅広いものがあります。ですから、習得しなければならないことが多く、入社5年で一人前どころではありません。私は20年以上になりますが、今も参考書などを読んで勉強しています。
しかし、勉強を続けていると着実に成長できます。5年目の社員より10年目の社員の方が、器が一回り大きくなっています。それによって情報もスキルも高まっていくので、どんどん優秀な「まち医者」になるのです。努力すれば、一回りも二回りも成長を実感できる。それは社員にとって、大きなやりがいではないでしょうか。
頑張っている社員が報われる会社にしていくのは、経営者である私の務めです。例えば休日数の増加など、さまざまな課題を改善し、会社の魅力づくりを進めていきます。
デジタル化もまだ未着手の部分が多いので、若い人の意見を取り入れながら進めていくつもりです。一方で、デジタル化が進めば進むほど、よりアナログの価値が貴重になるとも考えています。デジタルで対応できることはデジタルに置き換えたとしても、地元密着や人対人の部分では、アナログの強さがものを言います。デジタルとアナログの両方を進めることが、まち医者コンサルには必須なのです。
長期的視野で、お客さまに寄り添う。
私たちは地元密着で、経営の「まち医者」としてさまざまな相談に応えていきます。地道で泥臭く見えるかもしれませんが、地元のお客さまの期待に応えるには、このようなやり方が一番良いと考えます。
こんな当社の考えに共鳴し、ともに盛り上げていこう、お客さまと手を携え、長い関係性を築いていこうと考えてくださる方は、当社に合っていると思います。
現在は栃木を基盤に、一部群馬や茨城でもサービスを提供しています。今後は福島、埼玉などにも徐々に広げていくかもしれません。もちろん、無理をして進出するつもりは毛頭ありません。しかし、お客さまの要望があり、動けるだけのパワーがあれば、自然に拡大していくでしょう。そうなると、拠点を任せられる人材も必要です。
より自分を成長させたい。人間的にもっと大きくなりたい。他責にせず、また近視眼的に物事を判断しない、ゆったりと長期的な視野でお客さまに寄り添う。そして、お客さまから感謝される喜びを感じたい。そういう方は、当社で大きく活躍できるでしょう。
お客さまから頼りにされていると実感したとき、あなたは一回りも二回りも大きく成長できています。そうした日々を5年、10年と重ねた時、あなたは本物の地域の「まち医者コンサル」になっているはずです。