転職成功者インタビュー

栃木ハウス株式会社
佐々木京子さん(仮名・販促企画) 30歳

会社規模や収入のこだわりをなくしたら、本来の自分を取り戻せました。

「仕事の楽しさと、会社の規模は関係ないですね。」と明るく話す佐々木京子さん(仮名)がかつて働いていたのは、グループ会社も含めると8,000人規模になる東証一部上場企業(当時)。海外営業担当として、外国を飛び回っていたという。

一見華やかなその生活は、常に寂しさと隣り合わせでもあったという。勤務地は、ふるさとから遠く離れた大阪。会社の同僚以外、友人も知人もいない。常に仕事に没頭し、会社と家を往復するだけの生活。そんな味気ない日々に終止符を打つために転職活動を始めたが、当初は難航。無意識のうちに、会社の規模や収入にばかり目が行ってしまっていたのだ。

キャリアコンサルタントとの面談を通し、本当の優先順位を整理。その結果見つけたのは、50名ほどの会社で、初めて挑戦する「総務」という仕事だった。

(※本記事の内容は、2014年10月取材時点の情報に基づき構成しています)

過去の
転職回数
0回
活動期間
エントリーから内定まで56日間

転職前

業種
アパレルメーカー
職種
企画販促、営業統括
業務内容
パッケージ制作のディレクション、国内外の新規チャネルの開拓。

転職後

業種
ハウスメーカー
職種
企画・総務
業務内容
広告・プロモーションに関わる制作物の企画・ディレクション。総務・人事に関する業務。

転勤を希望するも、会社からの返事はいつも「難しい」。

現在のお仕事はどんな内容ですか。

地場の住宅メーカーで働いています。部署は、総務企画部。といっても、実は私1人(笑)。私の入社とともに、この部署を作っていただきました。ホームページの更新や、雑誌に掲載する広告のディレクション、モデルルームののぼり、ポスター、お礼状などの営業ツールの作成、新入社員の受け入れといった総務的な仕事を幅広く担当しています。

入社前のご経歴を教えてください。

大学を卒業してから一部上場のアパレルメーカーで働いていました。勤務地は大阪。所属していたのは、女性ものの靴下やストッキングを作っている部署でした。商品パッケージのディレクションを経験した後、約3年間アジアを中心に海外販路の営業及び新規開拓を担当していました。

転職のきっかけは?

関東の営業部で挑戦したいと異動願いを出し続けていましたが、叶いませんでした。海外営業の仕事は希望の部署ではなかったのですが、楽しかったです。しかし、毎日ひたすら仕事をして、帰りはいつも夜遅く、家には寝に帰るだけ。知人は会社の同僚しかいないため、気分転換も難しかったです。仕事は楽しかったですが、虚しいと思うときもありました。

そんな寂しさが決定的になったのが、東日本大震災。栃木との距離をすごく感じるようになりました。震災の日、私は家族の安否が心配でたまりませんでしたが、同僚はいつも通りに仕事をしていました。うまく言葉にできませんが、やりきれない気持ちでした。そのときに「次に転勤願いを出してもダメだったら、本当にもう辞めよう」と決めました。

その後も、希望を出し続けましたが、会社からは「難しい」という返事ばかり。ならばもう転職するしかない。しかし、仕事の楽しさと、お世話になったお客さまや会社になるべく迷惑がかからないようにしたいという思いから、行動を起こすまでに3年近くたってしまいました。

行動を起こすきっかけになったのは、社内にできる新しい海外専門部門への辞令でした。勤務地は大阪。そのため、辞令を受け取らずに退職を告げました。

転職活動はどのように進めましたか?

在職中に転職サイトに登録していましたが、仕事や引継ぎをいい加減にしたくないという気持ちから、転職活動にはあまり専念できませんでした。オファーはありがたいくらいたくさんいただいたのですが、入社したいと思うまでの企業はありませんでした。

オファーの中には大きな会社もありましたが、総合職だと転勤の可能性があり、決めきれませんでした。結局、次の仕事が決まらないまま会社を辞め、栃木に帰りました。

地元のハローワークにも行くようになりましたが、それでも決まりませんでした。というより、動けない、決断できない自分がいました。働きたい、でも無理に急いで決めたくはない。

自分で会社を判断しないといけないことへの不安もありました。「本当にいいのだろうか?」「もっといい話があるのではないか?」と思ってしまい、時間だけが経っていきました。

そんな時、リージョナルキャリア栃木からご連絡をいただき、面談をすることになりました。その面談で、ようやく気づくことができました。

何に気がついたのですか?

「自分が何を望んでいるのか」ということについてです。それまでの転職活動では、給料や会社の規模に目がいっていました。無意識のうちに、前職と比べていたのだと思います。前職が大手だったことが、プラスに働いていませんでした。

しかし、担当してくださったキャリアコンサルタントの方と話しているうちに、私が求めていたものは、働く環境だったということが見えてきました。まずは、関東勤務であること。次に、プライベートが確保されること。その後に初めて給料がくるという優先順位であり、会社の規模は関係ないと気がつきました。

仕事に関して臆病になっていることにも気がつきました。長年大阪勤務だったので、東京で自分の力が通用するのだろうか?という不安がありました。一度無職になり、弱気になっていたのだと思います。

今の会社に決めたポイントは?

リージョナルキャリア栃木からは2社紹介していただきました。面談をした際は、別の会社が気になっていました。ところが担当者に「この会社も佐々木さんに合う気がしますよ」と薦められたのが、今の会社でした。調べてみると、とてもこだわりを持っている会社だということがわかりました。

私が今担当している仕事も、以前は社長や他の社員が分担してやっている状態でした。社長は「マニュアルがあるわけではないし、手取り足取り教えてあげることもできない。何が必要か、何が足りないか、自分で察知して動ける人がほしいんだ」と率直に話してくださいました。その話を聞いて、「ここなら、自分が役に立てるかもしれない」と思いました。

決まりきったことがないので、自分で提案できるうえに、前任者がいないので、比較されることもない。自分の優先すべきことがすべてクリアになっていたので、会社の規模は気にならなくなっていました。

働く楽しさを再発見。毎朝、「今日も仕事を頑張ろう!」と思えるようになった。

転職していかがでしたか?

現職はすごく自分にあっているなと思います。本当に楽しく働けています。今までなら、仕事をして感謝の言葉をもらうことはなかなかありませんでした。仕事は「できて当たり前」だったからです。それが、今ではとても感謝されます。「ありがとう」「助かるよ」と声もかけてくださいます。

皆さんの仕事を見て、「こういうものがあればいいかな」と思ったものを作っているのですが、とても喜んでもらえます。こんなことでも役に立てるのだと、はじめは驚きました。

今までは、社長を含め社員の皆さんで専門外の業務も分担して、本当に大変だったと思います。今は、自分にできることはないか、いつも探しています。

生活面での変化はいかがですか?

前は定時で帰ることはありませんでした。本当に仕事しかしていませんでした。休日も会社に行くか部屋で寝ているだけでした。しかし、今は19時半には帰宅しているので、時間がありすぎるくらいです。平日の夜はジムに通う時間もあります。その他にも、翌日に持っていくお弁当の準備などをして過ごしています。

休日は、実家へ帰って親や親戚と過ごしたり、友達と会ったりしています。気が向いたときに、自由にそういうことができるのがうれしいです。フットサルや登山も楽しんでいます。「自分は体を動かすのが好きだったんだ!」と栃木に戻ってきて思い出しました。

体調も全然違いますね。大阪時代は不眠症気味だったのですが、今はぐっすり眠れます。毎朝「今日も1日頑張ろう!」と家を出ています。

困っていることや課題はありますか?

前職よりもプライベートな時間が増え、余っている時間をどう使うか、迷うことくらいですかね(笑)。収入は減りましたが、あまりお金を使わなくなったので、影響は感じていません。

大阪時代は周囲がモノにあふれる環境で、買い物で心を満たすということが多かった気がしますが、今はそういうことがありません。

昼食は自分でお弁当を作るようにしました。実は、転職したら収入が減ることを覚悟していたので、密かにお弁当を作る練習をしていたんです。

転職してよかったと思うことは?

「本来の自分を取り戻せた」ことだと思います。働くことが好きなのに、前職ではいつのまにか、楽しいだけではなくなっていました。今思えば、「やらないといけない!」というプレッシャーと毎日闘っていたのだと思います。

以前は、仕事のために仕事をしていたような気がします。それが、今は誰かのために働けるようになった。本当の意味で「自分のために働けるようになったんだ」と感じています。

転職を考えている人にアドバイスをお願いします。

周りからは「そんな大きな会社をやめるなんてもったいない」とよく言われました。でも、他人の仕事は「よく見える」ものです。私自身も「今までのキャリアを捨てるのはもったいないのかも」と思ったことがありましたが、「本当にそのキャリアが自分の人生に大事なのか?」と考えてみたら、答えはNOでした。

転職するにあたっていちばん不安だったのは収入です。でも、今実感しているのは「お金には代えられないものがあるな」ということです。もし悩んでいるのなら、動いたほうがいいと思います。

といっても、1人ではなかなか前に進めないものですよね。助言をしてくれる人が必要です。会社の人に相談しても、その助言が正解とは限らないですし、親に相談しても感情が入ると思います。そういう意味では、キャリアコンサルタントは客観的に判断し、さまざまなことに気づかせてくれます。

もう1つ、私がわかったのは、仕事ばかりしていたら、仕事は楽しくなくなるということ。プライベートも充実しているからこそ、仕事も楽しくなりますよね。

担当コンサルタントから

コンサルタント 
佐藤 照昭

私がはじめて佐々木さんとお会いしたときには、すでに前職を退職し栃木県に転居されていました。そのときの佐々木さんは「すぐにでも転職したいけれど、なかなか一歩が踏み出せない」という状況でした。

面談では、希望条件を一通りお聞きしたあとに、敢えてそれらの条件に優先順位をつけてもらいました。ある条件の順位を上げると、その他の条件が相対的に下がります。その後も納得がいくまでそれを繰り返していくと、本当に大切なものが見えてくるものです。

このプロセスを提案したことがお役に立てたとすれば、キャリアコンサルタントとして嬉しい限りです。佐々木さんは、いまでは栃木ハウスの採用も担当されていますので、今後お会いする機会も多くなるものと楽しみにしています。

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