株式会社大協精工
澁田直哉さん(経営企画) 33歳
仕事と子育てを両立するために転職。新たなやりがいとチャレンジする楽しさも見つけた。
澁田直哉さんは栃木県出身。東京大学大学院を修了後、大手鉄鋼メーカーに入社し、製鉄所の生産技術エンジニアとして活躍していた。「自分が転職するなんてまったく考えていなかった」と振り返る澁田さんが転職を考えるようになったきっかけは、子どもの誕生だった。
子育てや家族との時間も大切にしたいと考えていたが、当時の仕事は多忙を極めていた。しかも、当時の勤務地は岡山県で、周囲に知り合いが少ないことも不安の種だったという。そこで、「子育てがしやすい環境」「仕事と子育てが両立できる仕事」を求めて、地元・栃木への転職活動をスタート。リージョナルキャリア栃木との出会いにより、栃木に本社を置きながら世界的シェアを誇る大協精工へのUターン転職を実現させた。
新たな職種は経営企画。初体験の職種だが、「どんどんチャレンジできる会社なのでやりがいがある。家族との時間もしっかり作れています」と喜ぶ澁田さんの転職活動体験談を紹介する。
※本記事の内容は、2023年3月取材時点の情報に基づき構成しています。
- 過去の
転職回数 - 1回
- 活動期間
- エントリーから内定まで60日間
転職前
- 業種
- 大手鉄鋼メーカー
- 職種
- 生産技術
- 業務内容
- 設備投資や操業改善による生産性・品質向上、プロセス改善によるコスト削減など
転職後
- 業種
- 医薬医療用パッケージの製造メーカー
- 職種
- 経営企画
- 業務内容
- 事業計画の策定やサステナビリティの取り組み推進など
仕事だけでなく、子育てや家族との時間も大切にできる人生へ。
現在のお仕事はどんな内容ですか?
栃木県佐野市に本社を置く医薬医療用パッケージのメーカー「株式会社大協精工」で、経営企画の仕事をしています。バイアル製剤(注射剤)に欠かせない高品質なゴム栓や、バイアル・シリンジ用の樹脂容器などを製造し、世界中の製薬メーカーに供給しています。
新型コロナウイルスワクチンの容器にも、当社の製品が使用されています。ニッチな分野ですが、世界的なシェアを持つメーカーです。私は経営管理部企画課に所属し、事業計画の策定や、課題の抽出、対応施策の提言などを行っています。また、もう一つの柱として、社会問題となっているサステナビリティをテーマとした活動も担当しています。
入社前のご経歴を教えてください。
出身は栃木です。東京大学工学部から、東京大学大学院に進み、鉄鋼材料に関する研究をしていました。
修士課程修了後、大手鉄鋼メーカーに入社。最初は神奈川の拠点で6年間、製造部門の生産技術エンジニアとして、設備投資や操業改善による生産性と品質の向上、プロセス改善によるコスト削減など、工程全般の改善業務を担当していました。その後、岡山の拠点へ異動し、大規模な新ラインの立ち上げに3年半携わりました。
転職のきっかけは?
岡山でのプロジェクトの終わりが見えたタイミングで、初めての子どもが生まれることになり、これからの生活を考えるようになったんです。妻は岡山と東京を行ったり来たりしながら仕事をしていました。「子どもが生まれた後もそうした働き方が可能なのか?」と考えると、ちょっと厳しいなと。
また、私たちには岡山に親しい知り合いがいませんでしたので、「地元である栃木の方が子育てをしやすいのでは?」とも考えるようになったんです。加えて、私自身の仕事もかなり忙しく、残業も多かったんです。何か問題があれば、夜間でも休日でも電話がかかってきますし、呼び出されて仕事に出かけることもありました。
私は以前から、子育てにもちゃんと関わりたいと思っていましたが、この状況で仕事との両立ができるかどうか、不安だったんです。同じ職場にも両立を頑張っている人がいたのですが、睡眠時間をかなり削っていて、自分には難しそうだなと思って・・・。それで、「栃木にUターンして転職できないか」と、考えるようになりました。
転職活動はどのように進めましたか?
最初は大手の転職サイトに登録しました。まずはざっくりと関東圏の求人を探し始めたのですが、情報があまりにも大量すぎて、うんざりしてしまいました(苦笑)。メールもどんどん届きましたが、読む気が起きなかったし、決め手もわからない。「このままじゃ進まない」と思ったので、栃木に絞って転職情報を調べようと考えたんです。
そして「栃木 転職」で検索したら、パッと出てきたのが、リージョナルキャリア栃木。登録してからは、順調でしたね。コンサルタントに電話で面談をしてもらい、こちらの希望を伝えたところ、すぐに私の希望に沿った5社を紹介してもらうことができました。その中に、今の会社があったんです。登録から2か月後には入社が決まりました。
今の会社に決めたポイントは?
前職と同じ製造業でしたので、今までの経験やスキルが活かせそうだと思いました。また、職場が栃木の本社で、転勤がないところも良かったですね。
もう一つ大きかったのは、採用担当の1人が大学の先輩で、もう1人が高校の先輩だったこと(笑)。これもご縁なのかなと思いました。事業内容が社会的にも非常に意義がある分野で、世界中の医療現場に貢献できるという点も魅力的でした。
社内は今、改革期。だから新しいことにどんどんチャレンジできる。
転職していかがですか?
率直に言って、良かったです。経営管理部企画課は新設された部門なので、やることすべてが新しいことばかり。決まったルーティンの仕事があるというよりも、会社のさまざまなデータを日々分析し、課題が見えてきたら、各部門の社員と話をし、対応策を提案していく、といった仕事をしています。
会社としても、ここ1~2年でロゴやホームページがリニューアルされるなど、新しい動きがどんどん出てきているタイミングなので、新しいことに積極的にチャレンジさせてもらえて、やりがいを感じています。社内に「改革していこう!」「変えていこう!」という雰囲気があるので、とても動きやすいですね。
私の上司である経営管理部長が改革の推進役でもあるので、上司のもとで好きにやらせてもらっている感じです(笑)。例えば、新たに社会貢献活動も始めましたし、初めて栃木のプロバスケットボールチームのスポンサーにもなりました。
今まではあまり外に向けた情報発信に力を入れていなかったため、私も入社前はこの会社を知りませんでした。これからは、会社のブランディングやPRにももっと取り組んでいけたらと考えています。
また、前職で担当していた工場の改善業務は、いろいろな人と関わる仕事でした。若い人から年配の方まで、関わる年代層も幅広いですし、職種もさまざま。そうした人たちと一つのテーマに取り組んできた経験は、今の仕事でも大いに活かされていると思います。また、自分で問題や課題を見つけ、改善策を立てるという点も、前職に似ていると感じます。
転職して良かったと思うことは?
家族との時間がしっかりととれていることです。あのまま転職していなかったら、平日は子どもに会えなかったでしょうね。子どもが寝ている間に家を出て、寝た後に家に帰ってきて、子どもにとっては「知らないおじさん」になっていたかもしれません(笑)。
仕事の面でも、医療は社会的にも非常に責任のある仕事で、とてもやりがいを感じています。新しい分野に挑戦したことで毎日が新鮮で、私自身の視野も広がり、できることも増えました。財務などの経験のなかった自分に、経営に関わるチャンスをもらえているので、本当にありがたいと思っています。
大協精工はもともと東京にあった会社なのですが、創業者の地元である佐野に本社を移してきたんですよ。地元に密着し、地元を大事にしながら、グローバルな視点で働くこともできます。英語が流暢な社員もたくさんいますので、英語学習のモチベーションが上がりました。周りに能力の高い人が多いので、とても刺激になっています。
入社のタイミングも良かったと感じています。この業界は、これまで自社製品を使った製薬が各国の薬事審査を通ればずっと使い続けてもらえていたので、どちらかというと競争の少ない業界だったんです。でも、これからはどうなるかわかりません。
先々の見えないリスクに備えつつ、新しい技術や製品づくりにどんどんチャレンジできる風土を目指していかないといけない。そうした危機感や意識を持った皆と力を合わせながら、世界中の取引先にも、未来を担う学生さんにも、選ばれ続ける会社にしていくことが、私のミッションだと思っています。
困っていることや課題はありますか?
それまで住んでいた神奈川や岡山と比べて、妻は栃木の寒さに驚いていました。私は地元なので何の問題もありませんでしたが、栃木の冬、特に朝晩は結構寒いんですよ。
仕事の面では、事業内容や製品については何もわかりませんでしたので、最初は生産現場に何日か入って、勉強させてもらいました。財務に関する数字の見方も知識ゼロの状態でしたので、本を読んだり、上司に教わりながら、今も勉強を続けています。また、海外の提携企業とリモート会議をする機会も多いので、英語も猛勉強中です。
生活面の変化はありましたか?
バランスが良くなりましたね。転職後は残業もほとんどありませんし、家事や育児にもしっかり時間がとれています。宇都宮にある自宅までは車で40~50分。17時が定時なので、18時頃には帰宅できます。明るいうちに家に帰れるなんて、就職して初めて。すごく幸せです(笑)。
帰宅後は子どもをお風呂に入れたり、ご飯を作ったり。家事も妻と分担できています。また、私の実家が自宅から近いので、家族の体調不良など、何かあったときに私の両親がサポートしてくれることも心強いです。
休日についても、土日が休みなのは以前と変わりませんが、仕事場から電話がかかってくることがなくなったので、ストレスがなくなりました。有給休暇も取りやすくなり、基本的に休暇を取りたいタイミングで取れています。
また、転職後に宇都宮市内にマイホームも建てました。転勤する心配がなくなりましたし、宇都宮は首都圏に比べると物価も手頃です。もし転職していなかったら、マイホームは考えられなかったと思います。
宇都宮で暮らすのは高校生の時以来だったのですが、やっぱり落ち着きますね。また今回改めて感じたのは、子育てのしやすさです。宇都宮は「共働き子育てしやすい街ランキング 2021年版(『日経xwoman』、日本経済新聞社調べ)」で全国2位に評価されているんですよ。
保育園の待機児童が少なく、18歳までは医療費も無料です。私の子どもも、自宅から歩いて5分の保育園に入園できたので、とても楽です。それから、宇都宮にはおいしいギョウザ屋がたくさんあります。ギョウザが大好きなので嬉しいです(笑)。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
少し前までは、自分が転職するなんてまったく考えていませんでした。それが今、こうして新しい場所で、新しいやりがいを感じながら働いています。転職って本当に、人生の選択肢の一つとしてありうるんだと、しみじみ実感しているところです。
転職は決してマイナスなものではありません。重要なのは、自分がどんな人生を送りたいのか。一つの会社に人生を捧げるという固定観念にとらわれる必要はないと思います。
リージョナルキャリア栃木についても、利用して良かったと思っています。当時は岡山で働いていたのですが、リモートで面談してもらうことができ、その後の求人紹介も的確でした。
仕事で忙しい中、大量の求人情報を自分でチェックするのは大変です。自分1人ではうまく探せなかったと思うし、今の会社とも出会えなかったと思います。仕事をしながら希望通りの転職ができ、大満足です。