2023.06.01
栃木を舞台にした文学作品たち
こんにちは。リージョナルキャリア栃木スタッフです。
弊社はU・Iターン転職のご支援をする私たちが、我々の「地元」である栃木県を舞台にした文学作品たちをご紹介します。
触れたことの無い作品があればぜひ一度お手に取ってみてください。
江戸川乱歩『吸血鬼』(春陽堂書店)
いわゆる「探偵・明智小五郎シリーズ」のうちの一冊。吸血鬼のような冷酷な犯人と、名探偵明智小五郎の対決を描いた長編探偵小説です。
ある日の塩原温泉で、ひとりの女性を巡って二人の男性による毒薬決闘が行われようとしていました。決闘の決着がついてから暫く後、温泉宿に唇も鼻もない骸骨のような不気味な男がやって来ることから物語が大きく展開していきます。
宮部みゆき『火車(かしゃ)』(新潮文庫刊)
消費者金融の在り方をテーマとしたミステリー小説です。1994年、2011年にはドラマ化、2012年には韓国で映画化されています。
消費者金融による借財と多重債務をめぐる取り立てに翻弄される女性の生き様を、それを追う刑事の視点で描いています。この女性の本籍地が栃木県宇都宮市であり、実際に刑事も宇都宮市を訪れることで物語が展開していきます。
森詠(もりえい)『オサムの朝(あした)』(集英社)
第10回坪田譲治文学賞受賞作。
那須高原のはずれに住む転校生のオサムは、全く生活力のない画家の父、一家を背負うしっかり者の母、漫画家を夢見る兄をもち、貧しくも逞しく成長していきます。栃木県の豊かな自然をみずみずしい筆致で描いた自伝的小説です。同名作品が1999年に映画化されています。
手島悠介『裁判とふしぎなねこ』(学習研究社)
小学校5年生の斗夢(とむ)は、ある日、自転車で人とぶつかって事故を起こしてしまい、怖くなってその場を逃げ出してしまいます。その後、学校の模擬裁判の授業で裁判官役をすることになった斗夢。模擬裁判を進めるうちに、隠していた自分の罪が裁判のシナリオと重なり次第に思い悩んでいきます。
本作はフィクションですが、宇都宮市の小学校で実際に行われた模擬裁判を基にしているとのことです。
筆者の手島悠介は日本児童文芸家協会賞を受賞しています。
立松和平『人生のいちばん美しい場所で』(東京書籍)
栃木県宇都宮市出身の作家・立松和平の晩年の作品。
アルツハイマー病を発症した妻が行きたいと言った場所は、かつて妻の恋人が自死をした那須の塩原温泉でした。戸惑いながらも妻の希望を叶える夫が、これまでのしがらみや迷いを打ち捨ててひたむきに妻への愛情と向き合う作品です。
なお、この小説の一文が刻まれた文学碑が、那須塩原市の「大正浪漫街道」に建立されています。
内田康夫『幻香(げんか)』(光文社)
有名な浅見光彦シリーズのうちの1冊です。
ある日、浅見光彦のもとに一通の手紙が届きます。手紙からは芳香が立ちのぼり、その中には「四月十日午前九時、栃木市の幸来橋に来てください。でないと、私は死ぬことになります」と書かれていました。香水をテーマにした華やかな作品です。
なお、同名シリーズにて2013年にはドラマ化されています。
秦建日子(原作)・松本明美(著)『キスできる餃子』(河出書房新社)
2018年に公開された同名映画のノベライズ版。
離婚してシングルマザーとなった主人公が、宇都宮で餃子店を営む実家へ戻るが、既に餃子店は廃業してしまっています。店の再建と子育てに奮闘しながら新たな出会いを迎える軽快なラブコメディ作品です。
読み終えた後は餃子が食べたくなる一冊。
乗代雄介『皆のあらばしり』(新潮社)
第166回芥川賞受賞候補作品。栃木市の皆川城址を舞台にした、とある歴史的な書物を追うミステリー作品です。
語り手の「ぼく」と、大阪弁をべらべらと話す謎の男による軽快な会話劇や、ラストの大逆転劇が新鮮であり、新感覚の歴史ミステリーと評されています。
タイトルになっている「皆のあらばしり」という本を主人公たちが追いかけることになりますが、現物が見つかっておらず幻の書物と言われています。果たして本当に書物は存在するのか、結末はぜひ読んで確かめてみてください。
まとめ
今回ご紹介した作品はほんの一部です。文学を楽しむ方法はたくさんありますが、土地に着目して作品選びをすることで、その作品の背景にある物語を推測することもできます。
ぜひ、自分にゆかりのある土地に注目し、それが題材や舞台になっている作品を探してみてはいかがでしょうか。
※書影について
・宮部みゆき『火車』(新潮文庫刊) 「新潮社」ホームページより転載 https://www.shinchosha.co.jp/
・その他 「版元ドットコム」より転載 https://www.hanmoto.com/
▼栃木専任のコンサルタントへのキャリア相談はこちら
▼栃木の公開求人はこちら