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企業2023.01.12

スターバックスが壬生町にやってきた!栃木への出店戦略を考察

【OGP画像】20230112_高山綾美(栃木).jpg

こんにちは。リージョナルキャリア栃木のコンサルタント、高山です。

2022年4月14日に「なぜ壬生町にコストコが!? 出店条件から見る壬生町のポテンシャル」と題したブログにて、コストコをフックに栃木県下都賀郡壬生町およびその周辺エリアのポテンシャルを紐解きました。

その後、「コストコ壬生倉庫店」は無事6月23日にオープン、またその前後で6月18日に「カインズ壬生店」、8月8日に「レーン焼肉タイリクショクドー壬生店」、12月5日に「JINS壬生店」「スターバックスコーヒーカインズ壬生店」がオープンするなど、そのポテンシャルを遺憾なく発揮しています。

画像1.jpg

※筆者作成

なかでもスターバックスコーヒーについては、「獨協医科大学病院店」として病院に併設された店舗は存在したものの、独立した店舗としては壬生町内での初出店です。

夏頃だったでしょうか、「コストコ付近にスタバができるらしい」との噂に壬生町民がザワつき、オープン情報が正式リリースされた際には歓喜の舞が起こったとか起こらないとか...。

※注:ディスっているわけではありません。壬生町は筆者が愛してやまない地元です。

意外にも栃木県にはスタバが多い

...なんてことを書きながら調べてみると、壬生町はさておき、栃木県は意外にも、全国においてはスターバックスコーヒーの店舗数が少なくないことがわかりました。

以下は、スターバックスコーヒージャパン株式会社ホームページの「店舗検索」をもとに作成した、都道府県別スターバックスコーヒー店舗数のランキングです。

都道府県 店舗数
1 東京都 389
2 愛知県 141
3 大阪府 139
4 神奈川県 125
5 埼玉県 87
6 千葉県 81
7 福岡県 67
8 兵庫県 61
9 北海道 46
10 静岡県 41
11 京都府 39
12 茨城県 37
13 広島県 34
14 宮城県 31
15 栃木県 29
16 沖縄県 28
17 長野県 26
43 岩手県 8
44 高知県 7
45 徳島県 6
46 鳥取県 4
47 島根県 4

※情報引用:スターバックスコーヒージャパン株式会社 ホームページ(最終閲覧日:2023年1月13日)

前出のブログの執筆にあたってコストコの出店条件について調査してから、本業の人材紹介で小売企業を担当していることもあって、各社の出店戦略により興味を持つようになりました。

そこで、今回もスターバックスコーヒーの出店戦略について調査しながら、意外にも栃木県にスタバが多い理由として、栃木県の特徴や魅力について深掘りしてみました。

気になるスターバックスコーヒーの出店戦略

| ドミナント戦略

「ドミナント」とは、英語で「支配的な」「優勢的な」という意味です。つまり「ドミナント戦略」とは、チェーン展開をする小売企業が、ある特定のエリアに集中して出店する戦略のことをいいます。

そのエリアにおける顧客シェアを独占し、競合他社の入り込む余地をなくすという目的で、この戦略が採用されることが多くあります。

スターバックスコーヒーの始まりはアメリカワシントン州シアトルの1軒の小さなカフェでしたが、現在では同市内だけで100軒を超える店舗が営業中だそうです。また日本国内においても、たとえば面積わずか11.66㎢しかない東京都千代田区内だけで51軒もの店舗を出店しています。

シアトルや千代田区と比較すると、栃木県の「29店舗」は少ないように見えて、ここ数年で栃木市や足利市への初出店があったほか、この先数カ月以内の小山市や佐野市、宇都宮市(西川田町付近とのこと!)への追加出店も予定されているなど、出店スピードが上がっています。

これはもう、栃木県がスターバックスコーヒーのドミナント戦略における次なるターゲットエリアに選定されたといっても過言ではないのでは...?

| 「昼間(ちゅうかん)人口」を重視

スターバックスコーヒーの出店戦略のもうひとつが、「昼間の人口量を重視した出店」だそうです。つまり、通勤や通学、買い物といったなんらかの目的で、昼間の時間帯をそのエリアで過ごす層をターゲットとしているということです。

エリアマーケティングの切り口のひとつに昼夜間人口比率というものがあります。常住人口(=そのエリアに住んでいる人口)100人あたりの昼間人口(=通勤や通学による移動人口の増減を反映した人口)の割合のことで、これが100を超えているときは流入超過、100を下回っているときは流出超過となります。

総務省 によると、この昼夜間人口比率が最も高いのは東京都で119.2%、次いで大阪府104.4%、最も低いのが埼玉県で87.6%です。

※参照:総務省統計局「令和2年国勢調査 従業地・通学地による人口・就業状態等集計結果

栃木県はと言えば99.0%。数字上はギリギリ流出超過であるとはいえ、たとえば埼玉県と比べると、1日における人口の流動は大きくはなさそうです。

参考までに、以下は「栃木県からの流出人口(栃木県外への通勤・通学者数)」と「栃木県への流入人口(県外からの栃木県内への通勤・通学者数)」のデータです。

画像2.png
画像3.png

(画像出典:栃木県県民生活部統計課「令和2年国勢調査 従業地・通学地による人口・就業状態等集計結果 栃木県の概要」(最終閲覧日:2023年1月13日)

|「スタバのありそうな街」への出店

先述の通り、東京都内に389軒もの店舗を出店しているスターバックスコーヒーですが、2022年12月20日時点で、東京23区内で唯一「荒川区」への出店がありません。

荒川区といえば、町屋や西日暮里、南千住など、下町の面影を感じるエリアです。それはそれで魅力的ではありつつ、たしかに私たちがイメージする「スタバっぽさ」はないかもしれません。

逆に東京23区内で出店数が多いのは、東京駅や皇居のある千代田区(51軒)、東京タワーや六本木ヒルズのある港区(41軒)、原宿や表参道、代官山といった商業イメージの強い渋谷区(39軒)です(いずれも2022年12月20日時点)。

これだけでも、スターバックスコーヒーが「スタバのありそうな街」に出店している、つまりブランディングを重視していることがわかります。

これをふまえると、「魅力度が低い」「存在感が薄い」と言われる栃木県そして壬生町ですが、「スタバのありそうな街」として認められた、ということでよいでしょうか...(笑)

まとめ

スターバックスコーヒージャパン株式会社の水口貴文CEOは、2021年6月21日に実施された重点取り組み発表会において、以下のようなコメントをしています。

今年で日本一号店を銀座に開店してから25周年となる。今後も年間100店舗の新規出店ペースを継続し、日本全国での店舗数は2024年末までに2000店舗を計画している。コロナ禍でも、人とのつながり、会話など求める顧客ニーズを切実に感じた。その需要に応えるためにも新規出店は継続する。従来、オフィス街・郊外バランス良く出店していたが、今後この1年半ほどは、オフィス街より、郊外型店に重点を置く予定だ。また、地域のアーティストとのコラボなど地域密着、ビジネスユース、ティー特化型店舗など顧客ニーズの多様化に応えた店舗を増やしていく。

※参照:スターバックスコーヒージャパン株式会社 プレスリリース(2021/06/21)(最終閲覧日:2023年1月13日)

今回の「スターバックスコーヒーカインズ壬生店」のオープンや今後の栃木県内での追加出店は、スターバックスコーヒージャパンの事業戦略において非常に重要な位置づけであることが感じられます。

進化の止まらない栃木県そして壬生町に今後も乞うご期待です!

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この記事を書いた人

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高山 綾美

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